第11章
赤ちゃんはなぜ姿勢が良いのか
発達から考えるActive Support
私は臨床で
患者さんによく言います。
「赤ちゃんは姿勢を教わっていません。」
でも
ちゃんと立てます。
歩けます。
転んでも
すぐ起きます。
誰も
腹横筋を鍛えさせていません。
多裂筋トレーニングも
していません。
では
なぜ
姿勢が作れるのでしょう。
赤ちゃんは筋トレしていない
ここが
重要です。
赤ちゃんは
筋力がありません。
大人より
圧倒的に弱い。
それなのに
姿勢は
どんどん良くなります。
つまり
姿勢は
筋力だけでは
説明できません。
発達には順番がある
赤ちゃんは
必ず
同じ順番を通ります。
もちろん個人差はあります。
しかし
大きくは変わりません。
仰向け
↓
うつ伏せ
↓
寝返り
↓
腹ばい
↓
四つ這い
↓
ハイハイ
↓
つかまり立ち
↓
歩行
ここで
重要なのは
順番です。
なぜ順番があるのか
もし
生まれてすぐ
歩かせたら
どうなるでしょう。
当然
歩けません。
理由は
筋力不足だけではありません。
脳が
まだ
姿勢制御を
学習していないからです。
まず覚えるのは「中心」
最初に覚えるのは
腕でも
脚でもありません。
体幹です。
赤ちゃんは
まず
頭を持ち上げます。
↓
胸を支えます。
↓
骨盤を支えます。
↓
四肢が動きます。
つまり
中心が先です。
横隔膜は最初から働いている
ここで
前章へ戻ります。
赤ちゃんを見てください。
お腹が
大きく膨らみます。
胸ではなく
お腹で呼吸します。
つまり
横隔膜が
非常に良く働いています。
実は
これが
最初の腹圧です。
腹圧は発達する
大人は
腹圧を
作ろうとします。
赤ちゃんは
違います。
自然に
作っています。
つまり
腹圧は
トレーニングではなく
発達
なのです。
四つ這いは何を学んでいるのか
ここが
非常に重要です。
患者さんは
四つ這いを見ると
「ハイハイの練習」
と思います。
違います。
実は
四つ這いは
対角線の安定
を学んでいます。
例えば
右手
↓
左脚
この組み合わせ。
これは
歩行でも
全く同じです。
つまり
ハイハイは
歩く準備です。
体幹は動かないのではない
昔は
体幹を固める。
と言われました。
しかし
赤ちゃんを見てください。
ものすごく
動いています。
つまり
安定とは
動かないことではありません。
動きながら崩れないこと
です。
ここは
非常に重要です。
私は「固定」と「安定」は違うと思う
ここは
私自身の考えです。
昔は
体幹を固めるほど
安定すると
思っていました。
しかし
臨床を見ると
違いました。
腰痛患者ほど
身体を固めています。
肩こり患者ほど
力が入っています。
つまり
固めることと
安定することは
別です。
安定とは何か
私は
こう考えています。
安定とは
必要な筋肉だけが、必要な瞬間だけ働き、不要になればすぐに力を抜ける状態
です。
つまり
ON
↓
OFF
↓
ON
↓
OFF
が
素早い。
慢性痛では何が起きるか
逆です。
ON
↓
ON
↓
ON
↓
ON
ずっと
ONです。
つまり
休めません。
だから
疲れます。
だから
Passiveへ逃げます。
DNSが教えてくれたこと
DNSでは
発達姿勢を
利用します。
例えば
3か月姿勢
5か月姿勢
7か月姿勢
などです。
ここで
重要なのは
形ではありません。
圧力の作り方
です。
つまり
腹圧です。
ここも
前章と
完全につながります。
「姿勢を戻す」とは何か
私は昔、
姿勢矯正とは
骨を動かすことだと思っていました。
今は
違います。
私は
姿勢とは
発達時代に脳が学んだ運動プログラムを再び思い出すこと
だと思っています。
もちろん、
大人が赤ちゃんに戻るわけではありません。
しかし、
発達の過程で獲得した
- 呼吸と姿勢の協調
- 左右への荷重移動
- 体幹の安定
- 四肢との協調
こうした基本的な運動戦略を再学習することには、大きな意味があると考えています。
では、なぜ大人は失うのか
ここが
一番不思議です。
赤ちゃんは
Active Supportだけで
姿勢を作ります。
しかし
大人になると
Passiveへ依存する人が増えます。
私は
その理由は
便利すぎる生活
にもあると思っています。
椅子。
車。
スマホ。
ソファ。
長時間座位。
これらは
身体を支えてくれます。
つまり
Activeを使う機会が
減ります。
もちろん、これだけが原因ではありません。
加齢、痛み、仕事、スポーツ歴、心理的ストレスなど、さまざまな要因が重なって姿勢戦略は変化します。
ここで一つ疑問が生まれる
もし
発達が
姿勢の基礎なら、
運動療法とは筋肉を鍛えることではなく、発達で獲得した協調性をもう一度学び直すことではないでしょうか。
私は
最近
そう考えるようになりました。
しかし、まだ説明できないものがある
ここまでで
かなり説明できました。
しかし
一つだけ
残っています。
痛みです。
なぜ
同じ姿勢でも
痛い人と
痛くない人がいるのでしょう。
例えば
MRIで
同じヘルニア。
同じ狭窄。
でも
痛みが全然違う。
これは
姿勢だけでは
説明できません。
次章はいよいよ「痛み」です
次回は
このシリーズ最大のテーマになります。
第12章
痛みは組織が作っているのか、それとも脳が作っているのか
ここでは
- 侵害受容器
- 中枢性感作
- Fear Avoidance Model
- Protect by Output(Lorimer Moseley)
- Neuromatrix Theory(Ronald Melzack)
- なぜ画像所見と痛みは一致しないのか
- なぜ「痛いから動かさない」が悪循環になるのか
まで踏み込みます。




